甘い毒に溺れ堕ちて
だだっ広い病室を見渡しながら次の言葉を探していると、細くしなやかな指が私の前髪にそっと触れた。



「具合、どう? まだ痛む?」

「……少しだけ。でも、眠れないほどじゃないから。ご飯も3食食べられてるし」



微笑んで返したら、不安げだった表情が和らいで。「良かった……っ」と両手をぎゅううっと握られた。


約束を放棄して、突然音信不通になって。

やっと行方がわかったと思ったら、頭を殴打されて入院しているなんて。

一睡もできないくらい気が気でなかっただろうな。


目の下に青いクマを見つけて胸を痛める。



「……話は、聞いてる、よね?」

「……うん。来栖さんと、双子ちゃんから少し」



ズキズキと、治まっていた傷が再び疼き始めた。


絶対安静を言い渡されているため、面会は長くても15分程度に留めておきたい。

けど、炎天下の中駆けつけてきてくれた彼に真相を伝えず帰してしまうのも申し訳ないから。



「実は……私もね、はじめは性別が逆で。生まれる前は男の子だと言われてたの」
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