甘い毒に溺れ堕ちて
以前彼が語ってくれた時のように。まずは生い立ちから話していく。



「あと、初孫で。私の場合は父方と母方、両方なんだけど」

「うん」

「母方の親戚が、女の人が多くって。お母さんも、おばあちゃんもおじいちゃんも、女兄弟に挟まれて育ったらしくて……」



ポツリポツリと口にするにつれて、じわりじわりと目頭に熱がこもる。

泣かないようにと冷静さを保とうとするけれど。

手の温もりと慈悲深い眼差しが涙腺を刺激してくるせいで、視界がどんどん滲んでいく。



「お父さんは喜んでくれたんだけど……お母さんは……っ」



声が詰まった瞬間、優しく腕を引っ張られて抱き寄せられた。



「ごめんね。卒業式にって約束してたのに」

「っ……」



もう片方の手が後頭部に回ってきた。

痛みを払い落とすように、何度も何度も撫でられる。



「俺は、真彩ちゃんに会えて嬉しいよ」

「っ……」

「生まれてきてくれてありがとう」

「っ、ううぅっ……」



自分も腕を回し、肩に顔を埋める。


あぁ……こんなふうに抱きしめてもらえたのはいつぶりだろうか。


彼の抱擁に身を委ねてまぶたを閉じると、目尻から一筋、涙が頬を伝い落ちた。
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