甘い毒に溺れ堕ちて
嫌味ったらしくほじくり返したら、笑いながら肩を軽くグーパンチされた。

じゃあなと手を振り、速歩きで勤務に戻る彼を見送っていると……。



「今日はスペシャルゲストを連れてきたよ」



開いたドアの隙間から父がひょこっと顔を出した。

プレゼントが入った紙袋を持って立ち、手招きする父の元へ歩き出す。


少しトーンを落としたミルクティーベージュの髪。

念には念を入れて、前髪は全開に。

服も父から借りたちょっぴり派手めの花柄のシャツで、ワイルドさと色気をプラスしてみた。



「さ、入って」



目を閉じて深呼吸をし、スライド式のドアノブに手をかける。


遅ればせながら、というにはあまりにも時間が経ちすぎてしまった。

だけど、せめてこれだけは、贈らせてほしい。


ゆっくりとドアを開け、両手で目を隠している彼女に近づく。



「久しぶり。──ばあちゃん」



7年ぶりの挨拶は、緊張で少し声が震えてしまった。


目隠しを外し、俺の姿を視界に捉えた祖母。

一瞬驚いたのち、パアッと花が咲いたように晴れやかな表情に変わる。


その瞬間、止まっていた家族の時間が静かに動き始めた。



END
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