甘い毒に溺れ堕ちて
廊下側の窓に人影が現れ、勇雅が慌ててカードを片づけ始める。

校則に書いてないとはいえ、見つかったら注意だけじゃ済まないだろうしな。



「逆に藍なら圧勝だな。初心者用の大会だったら余裕で予選突破できそう」

「へー、そんなのあるんだ。強いカードは使っちゃダメみたいな?」

「うん。スターターセットに入ってるカードしか使えないんだよ。普通の大会は年齢別に分かれてるけど、こっちは区切りがないから、場合によっては大人と子どもが対戦することもあるんだよな」



「こんな感じで」とスマホ画面を見せられた。

記事は前回大会の決勝戦についてで、写真には10歳の男の子と65歳の男性がうつっている。



「お互いにカードゲーム歴は1年ほど。1年で全国制覇はすごいな。しかも2人とも地区大会全勝で突破してるんだ」

「そうなんだよ。俺も始めて1年半ちょいの時に参加したけど、1回も勝てずに終わったもん」



だから圧勝ってことか。

確かに始めて3ヶ月で10年近いキャリアの勇雅をこてんぱんに負かしている。ぎこちなかったカードシャッフルも、マジシャン並みに速くできるようになったし。

実力というより運で勝ってるようなもんだから、俺も相手によってはこてんぱんにされるかもだけど。
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