甘い毒に溺れ堕ちて
「興味あるなら出てみる?」

「んー、いいや。面白そうだけど、ますます金欠になりそうだし」

「ははっ。それもそうだな」



勇雅情報によると、来月に新作が出るのだそう。

買うつもりではいるけれど、俺の場合、コレクション目的での購入がほとんど。

綺麗でオシャレな絵柄が多いので、デッキ以外は全てファイルに入れて保管している。


バトルは気晴らし程度に、たまに遊ぶくらいがちょうどいい。


カードとプレイマットを片づけた後、机と椅子を元の位置に戻して教室を出た。

昇降口で靴を履き替えて、駐輪場へと足を運ぶ。



「すっかり葉っぱだけになったなー」



勇雅の視線をたどり、葉桜になった木を見上げる。



「今年はわりと長かったよな。入学式の日も咲いてたし。開花が遅かったのもあるけど」

「ああ」



春──それは寒さに身を潜めていた蕾が満を持して花開く時期。


出会いと別れの季節とも言うけれど、俺にとっては3月も4月も、どちらも別れの思い出しか残っていない。
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