甘い毒に溺れ堕ちて
「そっかぁ。じゃああの時で既に退部してたのかなぁ……」

「何か知ってるの?」

「3月の最後らへんだったかなぁ。病院の帰りに、友達と歩いてるのを見かけてね。声かけたら、『これからみんなでバッティングセンターに行くんだ』って言われて……」



徐々に寂しく、切なげな表情に変わっていく。


3月末なら、ちょうど春休み。学校と違って塾は長期休みがないもんね。

私が茉耶と散歩するみたいに、休日くらいは友達と遊びたいか。



「……茉耶も、野球したい?」



子どもたちを眺める茉耶に問いかけた。


昔から体が弱かった茉耶。

ちょくちょく早退しては学校を休んでいたため、放課後は宿題のプリントや保護者宛の書類をよく家まで届けていた。


体育の授業は毎回見学。スポーツ大会やリレー大会も補欠一択。

運動会の練習も部分的にしか参加できず、グラウンドを走る同級生たちを見ては悔しさを感じていたそう。
< 48 / 213 >

この作品をシェア

pagetop