甘い毒に溺れ堕ちて
私と目を合わせつつも、口はへの字のまま。

甘えん坊で、自由人で、ちょっぴり時間にルーズなあの藍くんが、家庭的……。



「なら、料理とかもするの?」

「もちろん」

「何が得意?」

「…………ムース」



数秒間の沈黙の後、可愛らしい単語が聞こえた。



「他には?」

「プリン。最近はゼリーもたまに」



お菓子かーい。確かに料理ではあるけど、そこはお菓子作りと言おうよ。



「真彩ちゃんは?」

「え?」

「得意料理とかあるの?」



反撃のつもりなのか、間髪を入れずに尋ねられた。

料理は時々するけど、得意と言われたら、すぐには出てこない。



「シンプルに、卵焼きかな。お菓子ならクッキーとか。最近はあまりしてないけど、よく妹と一緒に作ってた」

「じゃあ今度それ作ってきて。俺もプリンかゼリー作ってくるから」

「えっ」



藍くんは一方的にそう言うと、教室に戻っていった。

後を追うも、授業開始のチャイムが鳴ってしまい、詳細を聞けずに終わった。
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