甘い毒に溺れ堕ちて
無邪気な笑顔。

自分から言い出したくせに、罪悪感で胸が押しつぶされそうになる。



「家庭科部の子にお願いしたら、冷蔵庫使っていいよって。真彩ちゃんは大丈夫?」

「うん。保冷バッグに入れてるから。保冷剤もあるし」

「わははっ、完全防備だ」



気づかれないように、怪しまれないように。

必死に表情をキープしていると、授業開始5分前のチャイムが鳴った。



「じゃ、今から行ってくる」



返答する余地も与えず、調理室へと駆け出していった藍くん。

遠ざかっていく足音を聞きながら、フラフラと窓際に移動して……。



「どうしよう……」



窓の縁に肘をついて、頭を抱え込む。


卵焼きは持ってきた。藍くんと同じように2個持ってきた。

けど、作ったのは私じゃない。


いつもより20分早く起きて準備していたら、晴日と晴月の分のおかずに使われちゃって。

作り直そうとしたのだけど、卵がなく……結果、お母さんに頼んで少し分けてもらった。

だから正確には、味付けをしただけ。
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