甘い毒に溺れ堕ちて
そう説明するつもりだったのに、笑顔に押し負けてしまい……とてもじゃないけど言い出せなかった。


教室に戻り、1時間目の授業の準備をしていると、左隣から「やらかしたぁ……」と嘆く声が聞こえてきた。



「どうしたの?」

「下敷き忘れちゃって」

「なら、私の貸そうか? 2枚あるし。こないだシャーペン貸してくれたお礼ってことで」

「いいの? ありがとう〜!」



スクールバッグを開けて下敷きを探す。



「……あ」

「ん? どうかした?」

「ううん。なんでもない」



下敷きを渡し、バッグを閉める。


……卵焼きに気を取られて、すっかり忘れてた。


最初は卵焼きじゃなくて、クッキーを作るつもりだった。

材料は揃っていたのだけれど、小麦粉の量が少なくて。

シャーペンを新調したのもあり、お財布にはギリギリ買えるかぐらいの額しか残ってなかったため、貯金を崩して買いに行くことにした。


しかし──。



『っ、なに、これ……』
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