甘い毒に溺れ堕ちて
机の本棚に置いていた、うさぎの貯金箱。

手に持った途端、ポロッと耳が外れて。

恐る恐る蓋を開けてみたら、入っていたのは1円玉と10円玉だけで、50円玉と100円玉が消えていたのだ。


廊下側に顔を向けて、はぁ……と小さく溜め息をつく。


買ってから1度も落としたことはない。触るのは掃除する時とお金を入れる時。

そうすると、背丈の時点で届かない2人は外れる。


椅子を使えば届きそうだけど……やっていいことと悪いことの区別はついているはず。

テレビでニュースが流れた時、『やっぱりうそつきはドロボーになるんだねー』って、毎回指差しながら言ってるから。


幼稚園でも日々高度な教育を受けてるんだもの。よほどのこと……誰かに脅されてるとかじゃない限り、しないと思う。


お父さんに言ったほうがいいかな……。でも、証拠がないんだよなぁ……。

犯人は現場に戻るとも言うけど、また盗まれたらたまったもんじゃない。


再発防止のため、一旦貯金箱はクローゼットの奥に移動。小銭は全て巾着袋に移して、お財布と一緒にポーチに入れて持ってきた。

荷物は増えるけど、できるだけ自分の身は自分で守らないと。


気を取り直して教科書を開き、先生が来るまで予習を始めた。
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