甘い毒に溺れ堕ちて
「では……お1つどうぞ」

「ありがとう!」



目ざとく見つけてはそわそわしていた彼に、早速卵焼きを分け与える。


ううっ、そんな目で眺めないでくれ。綺麗ではあるけど、私が作り上げたわけじゃないから。

まぁ、自分で作った物を見られるのもそれはそれで恥ずかしいけども。


藍くんはひとしきり断面を観察すると、「いただきまーす」と半分かじって口に運んだ。



「んんっ! 美味しい!」

「そ、そう? 甘さは、大丈夫?」

「うんっ。俺甘め派だから。何個でもいける」



もう半分も口に含み、「ん〜、最高〜」と目を細めている。

味付けはお口に合っていたようで一安心。

自分も卵焼きを口に運び、食事を進める。


……そういえば、藍くんとご飯食べるの、初めてだな。


1年生の頃からずっと、お昼は茉耶と一緒。

中学までは給食だったから、同じ班の男子と食べることはあったけど、2人きりでは1度もなかった。
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