甘い毒に溺れ堕ちて
「真彩ちゃん、来栖さん、おはよう」

「おはよう!」

「おはよう藍くん」



爽やかスマイルを浮かべる彼に、微笑んで挨拶を返す。


オール青信号のノンストップ登校か。そのわりには全然息切れしてなくない? 髪の毛もサラッサラだし。歩きながら整えた?

1つに結んできた私でさえ、ブラシで梳くところから直したというのに……。

またも謎の対抗心を燃やす。



「なんかワイワイしてたけど、何話してたの?」

「アイクラの話と、髪の毛の話」

「髪の毛?」

「茉耶ちゃんの髪、占部さんが編んだんだって!」



彼女の発言で、藍くんの視線が私と目の前に座る友人に向けられた。

自分の席に荷物を置いた彼が、人だかりをかき分けてこちらに近づいてくる。



「三つ編みかと思ったらフィッシュボーンだったんだ。こんな綺麗な編み目、生で初めて見たかも」

「そ、それは、どうも」

「来栖さん、似合ってるよ」

「ありがとう〜」



興味深そうに観察している。

一定の距離は保たれてるけど、そんなにまじまじ見ないで……。こそばゆい気分になる。


──キーンコーンカーンコーン……。


すると、願いが届いたのか、始業のチャイムが鳴った。

その音を合図に、集まっていたクラスメイトたちがそれぞれ自分の席へと戻っていく。



「真彩ちゃん」



腕を掴まれて、足を止めた。

唐突なボディタッチにドギマギしていると、藍くんは私の耳元に顔を寄せて──。



「昼休み、ご飯食べたらあそこに来て」
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