甘い毒に溺れ堕ちて
ジャージの袖をまくり、長椅子に跨がる形で立った。

まずは背中の上部、肩甲骨付近から揉んでいく。



「ゔっ」

「ごめんっ、痛かった?」

「大丈夫。すっごく気持ちいいよ。……ゔあっ」



力を込めるたびに呻き声が漏れる。


予想を遥かに超える硬さ。

軟派な見た目とは裏腹に、柔軟性のじの字もなく、まるで板を揉んでいるような感覚。


整体師の人が触ったら、「ほぐしがいがありますね」と腕を鳴らしそうなほど。ガチガチに凝り固まっている。



「本当に大丈夫……? 休憩する?」

「いい。続けて」



拒否された。

手を止めるなと言わんばかりに、「次このへん」と指示が飛んでくる。


絶対今、眉間にシワ寄せて耐えてるよね。声も若干掠れ気味だし。

少しでもほぐしたほうが血流も良くなるし、体も動かしやすくなるけど、ここまで痛がられると授業に支障が出ないか心配だな……。


一体どんな生活をしていたらこんな身体になるんだろう。


そう疑問に思いながら背中と腰を揉みほぐした。
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