甘い毒に溺れ堕ちて
──キーンコーンカーンコーン……。


彼の声を遮るようにチャイムが鳴り響いた。



「……もう少し空気読んでくれてもいいのに」

「いや、空気も何も、時間通りに動いてるだけだから」

「そうだけどさぁ」



不機嫌そうに口を尖らせ、落胆の溜め息をついた藍くん。

こちらも掴まれていた手が解放されて、秘かに安堵の溜め息をついた。


……さっきなんて言おうとしてたんだろう。

話の流れからすると、「触っていい?」が自然な返しかな? あとは「いじっていい?」とか。


普段から晴月の遊び道具として使われてるからそこまで抵抗はないけど、彼女でもない人の髪の毛を触るって……。髪の毛フェチ? 本人が楽しいなら別にいいんだけどさ。


そそくさと荷物をまとめ、東屋を出る。

校舎に入ると、藍くんの口から、「あ、そうだ」と何かを思い出したようなセリフが出てきた。



「真彩ちゃんは、休みの日って何時頃に起きてる?」

「だいたい、7時から7時半の間が多いかな」
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