甘い毒に溺れ堕ちて
呼び出し音が切れて、低い声が聞こえた。

今回も長丁場になると思っていたため、ワンテンポ遅れて返答する。



「もしもし。藍くん、だよね?」

【そうでーす。正真正銘、成見家の藍くんでーす】



緊張感のない、ふにゃふにゃした声色。

自己紹介の後、「おはよう真彩ちゃん」とお決まりの挨拶もしてくれた。

本人だとわかって一安心。自分も「おはよう藍くん」と返す。



【昨日は出れなくてごめんね。何回もかけてくれてたのに】

「ううん。二度寝してた?」

【いや。ちょっと色々と、家のことしてたらタイミング逃しちゃって。今もそうなんだけど】

「何かお手伝いでもしてるの?」

【洗濯物を洗濯機に入れてて。白いのと色物で分けてるとこ】



耳を澄ますと、時折バサッバサッと音がしている。


洗濯の準備中なら、藍くんも洗面所にいるのかな? へぇ、ちゃんと分けて洗ってるなんて偉いじゃん。



「かわいいー!」
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