ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
「…やっぱり、待てない。
マナ、結婚しようよ。僕は水上みたいに心が出来てないから、君が誰かに取られてしまうんじゃないかって不安になる。ニューヨークにも戻りたくないほど。
切なくて、仕事も勉強も手につかない」

結婚…それは、私の頭もかすめた。孝弘さんと名実ともに一緒にいる為の手段として。でも。

「結婚ってそんな急いでするもの?仕事はどうするの?私にキャリアを捨ててニューヨークに来いってこと?」

「違う、違う!ただ、君に僕の『妻』っていう特別な存在になってほしいだけ。
わかってる。マナの人生の一番は仕事だって。君の生活はこのままで、僕のことは気にしなくていい。ただ、いつでも一番近い存在でいさせて」

これだ。
見つけてしまった。とことん、理想的な人を。
恋愛に割く時間なんて無駄なのだと、ずっと自分の心にブレーキをかけて、恋愛を諦めていたのに。

ーー先生、私、このブレーキを解除しても、立派な医師になれますよね。
孝弘さんと一緒なら、何一つ諦めることなく、きっとさらに成長できますよね。
先生みたいに、なれますよね。


結婚を現実として考えて、真っ先に頭に思い浮かんだのは…

「ハワイで見た、ジュンさんデザインのウェディングドレスが忘れられないの。すごく豪華で綺麗だった…」

「母さんの?
わかった。ジュンさんに、マナに一番似合うデザインを考えてもらうから、僕の隣で着て?」

「…うん」

もう、ここで人生最大のツキを使ってしまったかも。私は孝弘さんの胸に飛び込んだ。
ぎゅっと抱きしめてくれるこの人が、愛おしくてたまらない。


「孝弘さん、私、あなたに出会う最高のツキの為に今までツイてなかったのかもしれない。
好きです。これからもずっと一緒にいて下さい」


孝弘さんからの返事は、息もできないほどの激しいキスの後。

たった一言、「愛してる」と……


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