ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜
私は、窓の外に目をやった。
夕暮れの赤く染まった空に、ひときわ大きな白い鳥が飛んでいた。沈む夕陽の方向へと遠ざかる鳥影に、ふと思う。
ーーあれは、もしかして…先生?
「…ママったら、きっと丹下先生に妊娠のこと知らせに来たのよ。
いいなぁ、私のときにはそんなことしてくれなかった」
琴羽さんは私の肩に手を置いて、一緒に窓の外の空を眺めている。あの白い鳥に、私と同じことを思ったのかもしれない。
「まこと先生、私のこと見守ってくださっているのでしょうか…それなら、すごく嬉しい」
「きっとね。思ったもの勝ちよ。生きている者の特権だから、そう思っておきましょう」
私は、そっとお腹に手を当ててみる。
本当にここに小さな命があるのかな。
私、ちゃんと育てられるよね?仕事も育児もなんて、まこと先生みたいに上手くこなせるかなぁ。
嬉しさと不安とが交互に湧き上がって、胸がいっぱいだ。
すると、私の手に孝弘さんの手が重なった。温かく大きな手が私の手を包む。
それだけで、なんだかふわっと心まで抱きしめられたみたい。
「新しい夢が出来たね、マナ。
マナはお母さんに、僕はお父さんになる。初めてのことで楽しみしかない。僕、たくさん勉強して家事も育児も一流になるよ。だからそんな心配そうな顔しないで。
I'm lucky to have you.
僕は、マナと出会ってずっと幸運続きだ。毎日が輝きに満ちている。ありがとう、マナ」
私の不安も全て包み込んでくれる。私に寄り添って支えてくれる。
この人が大好きだ。
好きな人と一緒にいられて、仕事も順調。
私、本当はめちゃくちゃツイてる!
ーー先生、私、恋をしました。
二十代最後の夏。
三泊五日のハワイ旅行で。
ハワイの照りつける日差しのように、短くも鮮烈な恋は、今、毎日の幸せとなって、これからもずっと…。
終

