ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜

孝弘の思い

※※※



「イイ子だったわね、二葉さん。お医者さんだなんて、意外だったわ。性格もよさそう。
孝弘、チャンス到来じゃない」

ジュンさんに大量の荷物持ちをさせられる。これ、本当は姉ちゃんの仕事だったのに。まぁ、姉ちゃんはどうせ旦那の涼さんにやらせるんだろうけど。

「何言ってんだよ、ジュンさん」

「すました顔して。電話番号一つ交換するのも必死だったくせに」

「…楽しかったんだ。一緒にいて」

「あら、孝弘からそんな言葉聞くなんて。アタシうれしいわ。心配してたのよ、女の子に興味持てないって言ってたから」

二葉真菜さん、か。

正直、ドクターコールに応じて来てくれた彼女を初めて見た時は、看護学生かと思った。
それが、倒れている涼音を見たとたんに医師の顔になった。頼れる存在だった。

ドクターコールに応じることは、かなり勇気のいることだっただろう。それなのに笑顔で全力で涼音を助けてくれた。

おまけにまさかのロストバゲージ。ツイてないことづくしだったというのに、全てにおいて前向き。キラキラ輝いて見えた。

そして。彼女が放った一言。

『目の前に救える人がいるなら、助けたい』

あの一言は痺れた。とどめだった。


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