ツイてない!!〜But,I'm lucky to have you〜



…やっぱり、デカイ。
羽織った白衣はぶかぶかだ。

「二葉先生、ちょっとそれじゃあ、患者さんに笑われますよ」

看護師さんが笑いを堪えてる。
先輩に借りた白衣は、肩が全然合わない。袖口を折ったらなんとか着れそうだと思ったんだけどな。

「まずいかな。今、流行りのオーバーサイズ風に…」
「見えません!信頼できる医師に見えませんよ?それなら白衣を着ない方がマシです」
「いっそ脱いじゃうか。子供には、白衣が苦手な患者も多いしね。でも白衣着てないと、そもそも医師に見えないからなぁ。
しょーがない。カレーのシミを気にせず着るか」
「カレー付けちゃったんですか、先生!それもマズイですよ、みっともない」
「だよね?あー今日はツイてない!」
「二葉先生の場合、今日も、ですよね」

看護師さんに突っ込まれてぐうの音も出ない。

「昨日は、乳児が泣きすぎて先生の白衣に吐いて。その前は、診察の為にオムツを外した途端にかけられて」
「あー、あの男の子ね。綺麗な放物線を描いて私の白衣に一直線だったね!あはは、これは、白衣のストックも無いはずだわ。仕方ない。今日はこれで乗り切ろう。
さ、始めましょ」

手元に予約の患者が来た旨の知らせが入っている。
私はブカブカの白衣は気にせず、カルテに目を向けた。


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