リリィ・ホワイトの愛が目覚めるまでの日記
「リリィお姉様。 まだまだお話していたいのですが、もう帰らねばなりませんわ」

 気づけば昼過ぎだったのが、太陽は山の稜線上まで沈もうとしている。

「泊まっていけばいいのよ、ロージー」

「あら、それはいけません。 お姉様ともっと一緒にいたいからといって、ロナウド様を邪魔にしてしまっては義妹として失格ですもの」

「ロナウドだって、わかってくれるわ」

「いいえ、また伺いにまいります。 お姉様に会いたいもの」

 ロージーは私を追い掛けていた子供時代のように、今も姉離れができていない。
 お姉様、お姉様と言ってくれるのはありがたいが、彼女にも自分の幸せを探してもらいたいものだ。

 ジェイ、はどうだろうか?

 彼は気さくだし、男前だから女性にも好感を持たれるはず。 気負わずにいられる会話も楽しい。
 ただ、貴族らしからぬ振る舞いと行動が敬遠される可能性はあるから、相手は選ぶかもしれないが。

 それに彼の出身はこの国ではない。
 後には帰ってしまう、あのロージーがついて行く事などできようはずがない。
 いや、何よりも彼とロージーでは話も気も合わなそうだ。
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