お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
案の定、私の悪い予感は当たっていた。
あの後すぐに部屋に連行され、邪魔しないでという意味をもつカードをドアノブにかけ、ご丁寧に鍵まで閉めると私をベットに押し倒す。
ぼふんと体が布団にうずめられ、私を組み敷く航太郎さんを見上げていると、彼は私の頬と唇に一回ずつキスを落とす。
「っ!? 航太郎さん、何やってるんですか…! どいてください!」
「……君は自分が誰のものか、分かっていないみたいだ。俺の全部をかけて教え込むしかないね」
「ど、どういうこと……んんっ」
獣のような瞳をした航太郎さんに攻め立てられるように口付けが続く。
「さっき…あの男どもに声をかけられて、どうして俺が夫だと言わなかった?」
「え…? だ、だって、実際、婚姻届は出てないし、私はあなたの妻じゃないから…」
「法律上はそうだとしても、翠は俺のものでしょ? 一緒に暮らしていて、今は新婚旅行中じゃないか」
「は…? ち、違…う……! 私はあなたのものにはならないって言った……ちょっと、やめて……息、できな…っ」
止まらないキスから逃げるように顔を背け、精一杯腕を伸ばして彼の体を遠ざけようとする。
ビクともしないので今度は守りに徹し、自分の口を片手で抑えるとようやく呼吸ができるくらいに落ち着いた。
ピタリと止んだキスの嵐。
困惑して涙目になりながら恐る恐る航太郎さんのほうを仰ぎみると、彼ははぁと大きくため息をついた。
さっきからなんなんだと叫びたいのに、驚きと羞恥で上手く声を出せない。
「翠の初めては、全部俺がもらう。 他の男に近寄るな。 さっき掴まれたのは左腕か?」
そう言って鋭く眼光を光らせ、私のトップスをいとも簡単に剥ぎ取る。
男性に掴まれた腕を見るやいなや、航太郎さんは獲物でも見つけたかのように吸い付いてきた。
「ひゃあっ…!? な、どこ触って――くすぐった……」
「その乱れた顔、堪んないよ」
新婚旅行初日の夜、三間航太郎は自分の存在を焼き付けるように私の体を隅々まで堪能し、私にとって忘れようにも忘れられない時間にした。
どうにも彼の本性を煽り、獣に初めてを捧げることになってしまったのだった。