お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~


松下さんが私を待ち伏せるようになってから、もう一週間が過ぎた。
毎日飽きもせずやってきては、今日は航太郎さんがこうだった、ああだった、ふたりで秘密でこんなことをした……とか、それだけ聞くとただの惚気だが、全て松下さんの妄想なのだろうと思うと顔が引き攣る。
航太郎さんと抱き合ったとか言っていた日でも、彼からは松下さんのキツい香水の香りなんてしない。
それに、航太郎さんは私を変わらず愛してくれているのを実感しているから、こんなことで気が滅入ったりしなかった。
それなのに……

「ふふっ、さすがに驚いたようね?なんていったって、確たる証拠を見せられたんだもの、無理もないわ」

長身で細身なのに、程よく引き締まった、私のよく知る彼の胸に、松下さんがしっかり収まっている。
遠目で航太郎さんの表情まではよく見えないけれど、ふたりが抱き合っているような写真を自信げに見せつけられて、言葉を失った。
もちろん、こんな写真いくらでも捏造できるし、そうでなくても、つまづいた松下さんを航太郎さんが受け止めただけ…ということだって有り得る。
そのひとコマを写真に収めているあたり、つまづいたのはわざとなんだろうけれど。

「黙り込むくらいショックだった?なんだ〜、初めから写真を見せてやれば良かったのね。こんなの、私のスマホのホルダに山ほどあるわよ」

見たいでしょ?とでも言いたげな楽しそうな顔で言われて、それに答える代わりに、私は無表情で言う。
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