お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~

「松下さん、あなた余裕なくなってきてるんじゃない?一緒に住んでる私に彼の性格、とやかく言わないほうがいいと思いますよ」

自分で言いながら、心配性で気が小さいもう一人の私があわあわしている。
こんなこと言って、最初に決めた『下手に関わらない』『逆鱗に触れない』はどうしたの!
ああ、ほら、ほら、怒ってるよぉ、松下さん!
どうするの?どうするの?

うるさいな。どうするかって?
言い逃げるに決まってるじゃない。

「ってことで、失礼します」

最後までおでこに怒りマークを抱えながら松下さんを置き去りにマンションへ入る。
ちょっと私、辛抱足りないなーては思うものの、溢れ出てくる〝航太郎さんは私の旦那さん〟
っていう独占欲なるものに抗えない。
でっちあげの嘘をつらつらと並べられているのはわかっているのに、感情的になってしまうなんて情けない…。冷静になるとそう思う。
でももう、やっちゃったもんな〜。明日はもっと怒ってるかな?
いや、そもそも帰らなかったりする?
いやいやいや、航太郎さんにはバレたくないだろうし、さすがにないか。

ひたすらモヤモヤ悶々しながら家事をこなしつつ航太郎さんの帰りを待った。
最近では冴木の助言のおかげもあって、すっかりトイレをマスターしつつあるトロを愛でながら。

気にしないつもりだったのに、……いつもより掃除を念入りにしてしまったのには、自分に嫌気がさしたけれど。
< 67 / 80 >

この作品をシェア

pagetop