お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
「っ、まっ…て、こ…たろ、さっ」
「どうして言わなかったの」
「…っ、迷惑、かけたくなかったか、ら……ぁ…んぅ…」
吸い付くようなキスが、あちこちに降ってくる。
航太郎さんは私の反応をしっかり確認しながらも、それを止める気配は微塵も感じない。
それどころか、一層激しかったを増していく口付けに、意識が飛びそうだ。
「俺が頼りなかっただけなんじゃないか」
「…! ち、違う…そうじゃない……んんっ!」
「翠が落ちてきそうになった時、心臓が止まるかと思った」
航太郎さんは自分を責めている。
松下さんとあんなことになったのは、自分のせいだと。
「ごめん、翠。俺がもっと、松下のことも翠のことも――」
「航太郎さんっ! 私が、松下さんを怒らせるような真似をしたんです。でも、我慢するつもりだったけど、できなかったの。航太郎さんは私の旦那さんなのに、松下さんが、あなたと付き合ってるとか言うから……!」
「翠」
「航太郎さんは私以外の女性には魅力を感じないんでしょ? 私しか見えてないんでしょ。私も同じくらい、あなたしか見えてない。好きなの。大好きな人だから、誰にも渡したくない。嘘でも、彼女と名乗る人が私に会いに来て、嫉妬でくるいそうだった」
私が間髪入れずに話し続けるので、航太郎さんは黙って聞いている。
一呼吸つくと、彼は倒れ込むように私の隣に横たえて、隠すように顔の前に腕をおく。
「航太郎さん…?」
「翠の熱い告白…萌えるね」
「っ…伝わりましたか?松下さんと喧嘩みたいになったのは、あなたのことを好きすぎる私が悪いの。 …心配かけて、ごめんなさい」
「俺も…感情的になりすぎた。…怖かった?」
ちらりと顔を向けて、航太郎さんが少しか細い声で言う。
私はふるふると首を横に振り、「助けてくれて、松下さんにもはっきり言ってくれて、嬉しかった」と小さく微笑む。
「それに、航太郎さんのそういうところ…ほら、トロに似てるって言った。一度見たことあります」
「……ああ、沖縄の。ガキがナンパしてきた時」
ほら、今も口が悪うございますよ。
その時の航太郎さんを思い出して、おもわずくすっと笑ってしまう。
あの時はびっくりしたけど、今思えばあの頃から愛されていたんだよね。