お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
それから、私たちは三人でいろいろな話をした。
時折笑い声も響く楽しい時間だったので、両親も釣られて出てくるかな、なんて思っていたけど、甘かった。
それよりも先に、仕事を定時で切り上げてきた航太郎さんが私の実家にやってきた。
和やかな雰囲気に、航太郎さんはほっとしたようだった。
「三間さん…!お久しぶりです。 本当に、ふたりには感謝してます」
姉が三間さんとの再開に感極まる横で、晴人さんはまたしても目を潤ませている。
航太郎さんが「いいえ、こちらこそ」と微笑んだ。
「翠、ご両親は?」
「ふたりとも混乱していて、席を外してもらいました。隣の部屋にいます」
航太郎さんが、私の指さす方向に視線をやると、ちょうどドアが開いた。
まだ硬い顔をしているけれど、出てきたということは少しは落ち着いたのだろう。
「航太郎くん、いらっしゃい」
「お邪魔しています。 お義父さん」
仏頂面の父は、まず航太郎さんの方に話しかける。
航太郎さんはにこにこと完璧な笑顔で応じた。
ほら、ふたりとも、お姉ちゃんたちのほう行ってあげて!
そう訴えかけるように、父と母に圧をかけてみるも、なかなか動き出さない。
見かねた航太郎さんが口を開きかけた時――
床に手を付き、おでこをくっつけそうな勢いで土下座したのは、晴人さんだった。
それには父も母も、私も驚いて、目を丸くして凝視する。
「お父様、お母様、ご挨拶が遅くなりました。咲希さんとお付き合いさせて頂いています、遠山晴人と申します。咲希さんと温かい家庭を築き、彼女を幸せにします。私たちの結婚を、許していただけないでしょうか」
その言葉に被せるように姉も頭を下げる。
ここまでされたら、父の表情が少しだけ和らいだ気がした。
「娘を……よろしく頼みます」
観念したような言い方だったけれど、その目に涙が光っていたのは見逃さなかった。
母も泣き出して、つられるように晴人さんまで泣き出す。
さっきまでのぴりついた空気が一転、なんとか落ち着いて、和やかな空気になることができた。
良かったね、お姉ちゃん。