お見合い婚で一途な愛を ~身代わり妻のはずが、御曹司の溺愛が止まりません!~
その日は実家で食卓を囲み、航太郎さんとマンションに帰宅。
姉とは積もる話もあるので、後日改めて会おうということになった。
けれど、姉はシンガポールで仕事を続けるらしく、一週間後には戻ってしまうそうだ。
少し寂しい気もするけれど、家族の和解もできたし、…私には航太郎さんと、トロがいるしね。
「はあ。疲れた。運転ありがとうございました、航太郎さん」
「こちらこそ、助手席ありがとう」
私なんて、助手席に座って、喋っていただけですけどね。
「航太郎さん、飲みましょうよ」
私はさっきまでお酒も飲んでいたけれど、航太郎さんは運転があるので遠慮していた。
もう帰ってきたんだし、ふたりで飲み直すのもいいよね。
「じゃあ、お言葉に甘えて」
「…航太郎さんて、甘やかすのは得意だけど、甘えるのは下手」
一緒にお酒を飲むのは、お言葉に甘えるもなにも、私がそうしたいんだから。
航太郎さんは無自覚なのかきょとんとしている。
グラスと、姉に貰ったばかりの結婚祝いのワインを用意してリビングのローテーブルに運ぶ。
「もっと甘えていいんですよ?」
ちょっと酔いが回っているのは違いない。
普段なら、こんなこと言わないもの。
航太郎さんも私のイレギュラーな雰囲気に戸惑っているのか、何も言わない。
痺れを切らして、「ほら、たとえばー、こういうこと」なんて言って、彼の頬にちゅっとキスをする。
いたずらをしかけた子供みたいに笑ってみせると、航太郎さんはぽっとほっぺたを赤くした。
なにそれ、可愛い。
「さては、酔っ払ってるな」
「そうですよ〜、今ならなんでもしてあげます」
「じゃー、…左手、だして」
航太郎さんからの甘いお願いかと期待して、言う通りに左手を差し出す。
「目を瞑って。開けないでね」
念を入れてくるので、右手で自分の目元を覆う。目を瞑っている間、私の手をなにやらもみもみしている…?
意外と早めに目隠し解放の許可が出たのでそっと目を開けると、視線がかちあった彼はなにやらにこにことご機嫌だ。
それから、弄られていた左手に視線を落とし、左手薬指に嵌められたリングを捉えて、驚いて目を見開く。