捨てられ聖女は魔王城でスローライフを送る〜戻れと言われてお断りしたら、向こうから来るらしい〜
家格は釣り合わなかったけれど、聖女という私の存在を外に逃さないため、国に縛り付けるための婚約だったのだろう。

彼が、私を労わりに教会へ来たことなど、ほとんどなかった。

そして、私は、十年間聖女として国のために働いてきた。その間に、私の後ろ盾となる家は、父母の馬車事故による死去によってなくなってしまった。

十年間の聖女としての奉仕は過酷で、私の体に元々あった聖なる魔力を、じわじわと、そして根こそぎ奪い尽くして行った。最近は、魔法を行使するとすぐに倒れてしまうようになったのだ。

そんな頃に、「新たな聖女が認定された」というニュースが国を賑わせた。エリアーデ・フォン・ダリアス。公爵家の生まれで、まだ十五歳と若い少女なのだという。家格、年齢とも殿下と釣り合いだ。

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