捨てられ聖女は魔王城でスローライフを送る〜戻れと言われてお断りしたら、向こうから来るらしい〜
聞くところによると、冷たい印象を与える私の銀髪とは対照的に、蜂蜜のような波打つ黄金色で、その容姿もとても愛らしいものだという。

「……新たに聖女に認定されたというお噂の方と、新たにご婚約をなさるのですか?」

そう問いかけた私の言葉に、エドワード殿下は忌々しげに顔を顰める。

「それを答える義務が私にあるか?」

そう言って、物理的に高い位置にある上座から睨めつけられる。

ーーしまった、図星であり、彼の癇に障ったのだろう。

「そもそもだ。二十歳という行き遅れで、後ろ盾すらない。男爵家という身分の低い生まれだがその家すらもうない。聖女だと言ってもその力はもはや枯渇しようとしている。そんな女を我が国の王妃に迎える価値がどこにある!」



ーーひどい!



私が二十歳まで結婚出来なかったのは、五歳年下のあなたの成人を待たされたため。

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