青、こっち向いて。
「あのね、たまちゃん」
「ん?」
本を閉じて、周りを確認する。だれも、私たちなんて気にかけていない。もうクラスメートは半分以上登校していて、たぶんこの騒がしさなら私たちの会話に耳を傾けている人もいない。
「あの、昨日はハッキリと思ってること言ってくれてありがとう」
「えっ? あー、いや、実はあたしもあれ言いすぎたなあってバイト中反省してた、ごめんね?」
「ううん!たまちゃんが私なんかのこと真剣に心配してくれてるの伝わったから」
「そりゃそーだよ、あっちゃんはあたしの親友だからね」
にこっと笑ったたまちゃんに、私も笑顔を返す。
親友って響きが、正直にとても嬉しい。
そう思ってくれてるなら、よけいに、これは話さないといけないかもしれない。
たまちゃんにはどうせすぐバレてしまいそうだし。
「あのね、たまちゃん」
「うん?」
「私、やっぱり好きなのかもしれない」
なにが?とか、誰のことが?とか聞くほどたまちゃんは鈍感じゃなくて、一瞬動きが停止した。
少し考えるような素振りを見せてから、ゆっくりと2回頷く
「そうなんだね。ね、なんで好きになったのか聞いてもいい?あっちゃんの好きな人に悪い印象抱いたままなのは、なんとなく嫌なんだ」
こくりと頷いて、周りをもう一度見渡す。うん、誰も見てないし、誰も聞いていないはず。
「はじめは、机に本が置いてあったの」
それから、私はみんなには聞こえないくらいの声で、たまちゃんにだけ聞こえるように、これまでのことを話した。
たまちゃんも私に密着するように距離を詰めて、真剣な顔で聞いてくれていた。