青、こっち向いて。
「…なるほどね、うん、確かにあたしの中のイメージとは全く違った」
ケラケラ笑ったたまちゃんに、ホッと胸を撫でおろした。
本が置いてあったのを確認したあの日から、昨日の出来事までを話すと、「いいヤツじゃんね」とたまちゃんはこぼす。
「あっちゃんが本気なら、あたし応援するよ。協力的なところは期待しないでね…あたしも話したことないし。でも応援ならまかせて!」
ドン!と胸を張って大きく笑ったたまちゃんに、ありがとうと笑い返した。
もし、私が逆の立場だったら、こんな風に笑って応援するよ、なんて言えたかな
悪いうわさが流れている男の子を好きになったって、たまちゃんに相談されたところを想像してみる。
表面では応援すると言えても、きっと心の中では不満…みたいなものを抱いていると思う。
そう考えると、たまちゃんの笑顔に、素直に喜べない自分がいた。
「そうだ、今日はおばさんに頼まれてシバに弁当届けるんだよね、そのままお昼一緒に済ませちゃうんだけど、あっちゃんはどうする?シバだからあっちゃんも一緒に食べちゃう?」
あ、その大きなお弁当の袋、香椎くんのだったんだ。
たまちゃんは“ただの幼なじみ、アイツのことはなんとも思ってない”って言っているけど、たまちゃんと話しているときの香椎くんは特別嬉しそうなんだよね。
なんか邪魔しちゃうの申し訳ないな…。
「ううん、私今日はお弁当なくて購買で何か買おうと思ってたから、二人で食べて」
お弁当がないのは本当。
お金を送ってくるってことは、もしかして家に何もないんじゃないかって昨日の夜気がついて冷蔵庫を見たら、案の定冷蔵庫にはお母さんのビールと卵が一つだけ。
代わりにリビングのテーブルの上に千円札が一枚置いてあったから
あんなことがあった後だったから買い物に行くのも怖くて、結局今日は購買でパンでも買うことにした