触れないで、杏里先輩!
「あ、うんっ」

私は未だに緊張しながらも頷きながら返す。


「……そっか、そっか」

すると隣から何かに納得し、呟いたような声をギリギリ拾った。

何に納得したのかが分からなくて、私は首を傾げながら彼を見る。

その瞬間、心臓がバクン!と大きく飛び跳ねた。

北川君が私にとびきりの爽やかな笑顔を向けていたから。

ここ数日、顔が整いまくっている杏里先輩を見ているが微かも慣れないし、男の子にも免疫力のない私の心臓は大きく反応した。

私に向けられている笑顔と視線。

何でそんな顔で私を見ているの……?

北川君がどうしてそんな顔を向けているのかは分からないが、それよりも私はドキドキに耐えられそうになくて、顔を膝の上の鞄へと勢いよく戻して逃げることにしたが、


「ど、どうかした?」

でもやっぱり気になって訊くことにした。
だって心の中がモヤモヤするもの。
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