触れないで、杏里先輩!
「送るよ」

するとまさかの言葉が飛んできた。

「そこまで大丈夫っ!お構いなくっ!」

「坂井さん、さっき電車に乗るの躊躇ってたのに一人で帰れる?」

うっ。
痛いところを突かれて、言葉が出てこなくなる。

「でも、本当に、大丈夫……」

「杏里先輩と一緒に下校してるよね。それと同じだよ。俺は北川さんが心配だから付き添いたい。杏里先輩だけ特別扱いなの?」

確かに帰っているし、そこまで言われたら拒否する言葉が見つからない。

「お、お願い、します……」

観念すると北川君は満足げに笑った。
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