触れないで、杏里先輩!
「あ、ありがとうございました!お世話になりました!」

「その涙は何?」

どうやら私は泣いていたらしい。
最近は気付かぬうちに泣いてしまっている。

「男性を克服出来た嬉し涙です」

涙を拭いながら、笑って誤魔化した。

だって最後だから。

最後は笑顔で終わりたい。


「杏里先輩、本当にありがとうございました」

私は胸に両手を添えながら頭を下げて、心からお礼を言った。

これで完全に終わりだ。

そう思った次の瞬間、杏里先輩が前屈みになり、私の机と椅子に私を挟むように両手を置いた。


「美桜、もっと触れたい。許可を頂戴」

間近から聞こえてきた切なげに懇願する声に思わず肩が揺れた。

ゆっくりと顔を上げると、杏里先輩は切なげに瞳を揺らしていた。


「え……?ど、して……?」

そんな目で見つめる意味が分からず、涙が止まった。

「自分から触れたいって思った女の子は初めてだから」

熱を宿しながら揺れる綺麗な青い瞳に戸惑った。

「え?初恋の人は……?だってずっと好きだって……」

私が呆然としながらそう溢すと身体を起こした。

するとゆっくりと何故か私を指した杏里先輩。
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