愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「そうよ。星光さんはね、お母さんと相談して、警察の他にもボディガードを手配してくれて、私の気持ちが落ち着くまで出かける時もずっと付き添ってくれたのよ」

 ――え?

「大学の送り迎えも、一番辛かったときは大学に頼んで星光さんも一緒に授業を受けてくれて、もちろん病院にも一緒に行ってくれた」

 綾乃の勢いは止まらない。

「お兄ちゃんのことだから、星光さんは暇だからとか言うんでしょ」

「お前な、俺をなんだと思ってるんだ」

「いいな星光さん離婚すればお兄ちゃんと他人になれるもんね。私も切れるものならこんなふうに冷たいお兄ちゃんと縁を切って、星光さんに付いていきたいくらいだよ!」

 その後も散々俺の悪態をついて、綾乃は泣きながらマンションを飛び出していった。
 離婚したほうが星光さんは幸せだ。お兄ちゃんにはもったいない人だったと吐き捨てて。

「――うそだろ?」

 いつの間にあんなに綾乃は星光に懐いていたんだ?
 いや、そうじゃなくて。星光が綾乃を助けてくれたったって? あの星光が?


 結婚して三年。

 俺の知る彼女と、綾乃の知る星光は別人なのか?
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