愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 もしかして、何か勘違いでもしていたのか? 俺は。


 週が明けても星光は帰らなかった。

 部屋はもぬけの殻なのだから戻らなくて当然だろうが、どこか釈然としない。

 彼女はなぜ離婚なんて言い出したんだ?

 ふたりで出席したパーティーでは、幸せな新妻らしく振る舞っていた。
 五條星光になってからも何不自由ない暮らしだったはずだ。
 たとえ仮面夫婦だとしても今の生活に満足していたんじゃないのか?

 あれから改めて見てみた星光の部屋で、ドレッサーの上に通帳とカードが置いてあるのを見つけた。

 確認すると一銭も使われていなかった。

 毎月自動的に振り込んだ生活費も手付かずのまま、記帳だけはされていたが、引き落としもなかったのである。俺の渡したクレジットカードも使っていない。

 なぜだ。なぜ、最初から一銭も?
 金に困っている五條からは受け取れないとでも思ったのか?


 俺たちは政略結婚だった。

 星光と初めて会ったのは見合いの席だが、彼女のことは以前から知っている。

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