愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
 若かりし頃は政界のプリンスと言われたイケメン国会議員花菱一郎の娘、花菱星光。
 狭い日本の社交界で彼女は目立つ存在だった。

 パーティーではいつも取り巻きの男たちに囲まれていた。
 誰の目にも派手に映る目鼻立ちのはっきりした美人。権力を笠に着た父によく似た印象の、全身をブランドで固めた令嬢。

 それが俺の知る星光だ。

 男を取っ替え引っ替えし同性には傲慢無礼という、周りから聞こえてくるのは醜聞ばかり。政略結婚でなければ間違っても結婚などしなかっただろう。

 否も応もない。

 五條家が生き残る路は他になかった。ある意味俺は、花菱に買われたのである。

 お互いの利益だけを優先した結婚に、最初から甘いものはない。結婚式と披露宴を無事に終えればあとは冷えた関係のまま、初夜から寝室は別々だった。

 結婚を決めるにあたり、踏ん切りをつけたつもりでいた。

 でも、どうしても星光を抱く気にはなれなかった。

 食事も一緒にしない。家庭内別居という生活で、俺たちが夫婦らしくしていたのは数ヶ月に一度は必ずあるパーティーに同席した時だけかもしれない。
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