愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
『なんとなく、誰かがそれを待っている気がしたの。私の思い違いじゃなければ必ずどこからか写真を撮って脅してくるはずだから』

 そのための、ある意味映える状況を作っていたのである。

『だからもし、誰かに写真を見せて脅されても脅迫に乗ってはだめですよ。犯人が知りたいだけなんです』

『わかった。だけど星光、これからは最初に俺に相談してくれよ?』

 綾星さんは、心配こそすれ私を疑うようなそぶりは見せなかった。

 とはいえ、あれほど酷い写真は想像しなかっただろう。

 我ながら恥ずかしい醜態だと思う。
 実際はさほど酔ってもいないけれど、写真の私はだらしなく酔ったあげくに男に抱き上げられている。しかもそのままホテル。

 綾星さんは、ひと言も私を責めないけれど、そこまでする必要はないと思わなかったのかしら。

 プライドの高いあなたが許せるの?
 っていうか、どうして怒らないの? もし、綾星さんが私以外の女性をお姫様だっこしたら……。
 沸々とこみ上げる怒りに、ふと我に返った。

 何考えているの私。

 大きく息を吸う。
 慌てて雑念を振り払い、綾星さんの前に朝食を並べていく。
 玄米粥と、付け合わせの小鉢にお味噌汁。

「お、馬籠で買ったきゃらぶきだ」

「はい」

 あれもこれもと沢山買ったので、私がいるうちにせめて半分は消費したい。ここを出て行く時には持っていきたくないし。

 それにしても何を言われたんだろう。

 お金に困っているだろう彼の伯父がどんな寝言を言ったのか、やっぱり気になる。

 にこにこと食事をする綾星さんは、伯父さまとの話をする様子はない。

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