愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「どうしてここにいるんだ?」

 強く睨むと、美々子は視線を逸らす。

「なによ。自分だって気になって付けてきたんでしょう」

「俺は仕事中だ。星光を見かけたから食事に誘おうとしているだけだぞ。お前はなんで、ここにいるんだ。え?」

「いい加減目を覚ましてよ、ねえお兄ちゃん」

「まだわからないのか? いつまで星光をつけ回すつもりだ。本気で訴えるぞ」

「べつにいいよ? 私にはもう何にもないもの」

 美々子は完全に開き直っている。

 言ってわかるとは思えない。このままでは埒があかないので、通りがかりのタクシーを拾い、美々子を押し込んだ。

「刑務所に入りたくなければおとなしく帰れ」
「お兄ちゃん!」

 異常だ。
 なんとかしなければ。

 星光を見失ったがもうそれどころではない。
 透が待つ店に向かった。

「会えたのか?」

 ちょうど定食が届いたところだった。
「いや、ちょっと問題が起きた」

 事情を説明すると、透も「やばいかもな」と顔をしかめる。

 矛先が俺に向かっているならいいが、星光を狙うとなれば話は別だ。
 何か起きてからでは遅い。すぐに弁護士に動いてもらおう結論に至った。

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