愛しているので離婚してください~御曹司は政略妻への情欲を鎮められない~
「選挙? なに言ってんの? 星光さんのお父さんは有名な大臣だもの、五條の名前とかGoJのささやかな票なんて関係ないでしょ!」

 GoJはコンピューター及びITサービスを主力事業としている国内有数の電機メーカーだ。五條はGoJの創業者一族である。グループ全社員数を考えれば当然ささやかな票ではないはずだが、実際は綾乃の言うとおりだろう。

 義父は若手の頃から歯に衣着せぬ発言で、有権者に人気がある。五條の協力などなくても当選は確実だったに違いない。

「まさか、お兄ちゃん星光さんを止めなかったの?」
「仕方ないだろ、本人が探さないでくれって言うんだから」

「はあ?」
 目を大きく見開いた綾乃は唇を震わせる。

「本気で言ってるの? お兄ちゃんって、本当に、ほんとうにサイテーね!」

「なんだその言いぐさは」
「その通りじゃないの! お義姉さんは、星光さんは、本当に良くしてくれたわ。お兄ちゃんのバカッ」
 綾乃は泣きながら俺の胸を叩く。

「ちょっ」
「誕生日もお祝いしてくれたんだよ!」

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