粗大ごみを拾ってしまった(番外編その4)大森VS巫女の恋愛格差問題

強制送還

<神社裏手・公園・リシェルの強制送還>

公園の木々の間を
リシェルはうつむき加減に、
瞑王に手を引かれて歩く。

それは、
まるで処刑場に向かう咎人(とがびと)のように見えた。

大森はその後ろを4メートル離れて、ついて行った。

夕方の公園は木が生い茂り、
昼間の賑わいが嘘のように
静まり返っていた。

「そこに座れ」

瞑王は
大きな樹木の幹の側に、座るように、
リシェルに指示をだした。

その木はご神木なのだろう・・

幹に縄がまかれ、白い幣帛(へいはく)が揺れていた。

リシェルは何も言わず座った。

白いワンピースが死に装束(しにしょうぞく)のように、
大森には見えた。

瞑王はリシェルに向かって、
指をさすように動かした。

その指先からは、
金色に輝くひもが伸びていく。

そのひもはリシェルの体を、
しばるようにグルグルと巻き付いた。

瞑王はそれを確認すると、
指を使って、ひもを切るような
しぐさをした。

するともう片側のひもは、
ご神木の幹に巻き付いていく。

リシェルはしばられ、
木につながれた状態になった。

「・・そこまで・・しなくても」
大森は小さく声をあげた。

これでは、
罪人のようではないか・・・・

しかし、
瞑王の顔は厳しいものだった。

「リシェルの力をあなどるな。
腐っても、神殿の巫女だからな。
これも彼女を安全に、
神殿に送るためだ。
途中で暴れられたら危険が伴う
仕方がない・・」

その言葉の間中も、
リシェルは抵抗することなく、
うなだれていた。


< 6 / 19 >

この作品をシェア

pagetop