一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
笑って突っ込んだら、彼が不意打ちでとんでもない言葉を放った。
「じゃあ、嫁に来るなら問題ないだろ?」
悪戯っぽく笑っているが、その目は真っ直ぐに私を見据えている。
聞き間違いだろうか?
嫁に来るならって……プロポーズ?
それとも冗談?
どう返していいかわからない。
狼狽える私を見て怜がニヤリとした。
「断らないなら答えはイエスってことで」
「朝から冗談言わないで。心臓に悪い。四月から部長になるのよ。自分の発言には責任持ってよね」
本気にしないで怜の胸板をトンと叩いたら、彼はにっこりと微笑んだ。
「わかった。ちゃんと責任は取るよ」
それから朝食を作って怜と食べる。
ご飯、なめこの味噌汁、玉子焼き、鮭の塩焼きとシンプルな和食。
だが、ご飯の匂いを嗅いで少し違和感を覚えた。
美味しい匂いのはずなのに、今日は逆に気分が悪くなる。
「どうした?」
怜に聞かれ、咄嗟に「ううん、なんでもない。ご飯柔らか過ぎたかと思って」と答えたら彼は穏やかな目で微笑んだ。



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