一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「仕事お疲れ」
グラスを重ねてきた彼に微笑み、店内を見回す。
「お疲れ。いい雰囲気の店だね。落ち着く」
「客が誰もいないからな。それより、最近悩んでないか? 先月おばあさんの葬式で帰郷して以来、山本の様子がおかしい」
その言葉にギクッとする。
沖田くんにはバレないようにしているのに、どうしてこうも鋭いのだろう。
実は祖母の葬式の時に、父に言われたのだ。
仕事を辞めて結婚しろと。
相手は高校の時の同級生で、福井で有名な建設会社の副社長で御曹司。
もう父は勝手に話を進めていて四月には結納を行う予定だ。
普通なら無視するところだが、私の結婚を条件に父は融資を受けているらしい。
実家は昭和元年から続くメガネ会社を経営していて、ここ数年赤字が続いている。
融資を受けている以上断るわけにはいかない。
父に従うしかないのだ。
「大好きなおばあちゃんが亡くなったからショックだったの」
咄嗟にそんな言い訳をしたら、彼は別の質問をした。
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