一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
店員がやってきてグレープフルーツジュースを頼んだ。
妊娠したせいか、グレープフルーツジュースを飲むと胃が落ち着くのだ。
「海くんから昨日の夜電話もらったの。雪乃ちゃんが結婚させられるって」
恵子さんはコーヒーを口に運ぶと話を切り出した。
海くんというのは私の兄のこと。
「兄がそんなことを?」
恵子さんの話に驚いて聞き返したら、彼女は私の目を見て真剣な面持ちで頷いた。
「ええ。お金を貸してくれないかって言われたわ。三千万円。でも、うちもそこまで余裕がないから」
いくら恵子さんが三鷹でも有名な美容院を経営しているとはいっても三千万もの大金をポンと用意するのは無理だろう。
従業員のお給料だってあるし、機材にもお金がかかる。
「お騒がせしちゃってごめなさい」
恵子さんにはいっぱいお世話になったから余計な心配をさせたくなかった。
兄なりにこの問題をどうにかしようとしているのだろうか。
「大丈夫なの? 相手は例の子でしょう?」
不安そうな顔をする彼女の質問にコクッと頷いた。

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