一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
彼は温かい目で微笑むと、席を立って私の前から姿を消した。
てっきり怜に私のことを知らされるかと思った。
判断は私に任せるということだろうか。
それとも私を信頼して怜に連絡しなかったのか。
私……間違っていたのかな。
怜はいつも言っていた。
雪乃はもっと人を頼った方がいいって。
それに、赤ちゃんのことだって彼には知る権利がある。
赤ちゃんの父親だって勝手に奪っていいの?
そうだよね。
私は間違ってた。
松本に結婚の話を断ったら、怜に全部打ち明けよう。
出発の時間が近づいてくると、カフェを出てバスターミナルに移動した。
たくさん人がいて待合室の椅子は全部埋まっていたけど、私がボーッと突っ立っているのを見て、体育会系の学生さんが席を譲ってくれた。
「顔色悪いですよ。どうぞ座ってください」
「ありがとうございます」
礼を言って座らせてもらう。
今までの疲労や悪阻で体重が減ったこともあって正直立っているのは辛かった。
人の優しさが心に染みる。
午後十一時三十分発のバスに乗って福井に帰る。
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