一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
しかし、雪乃の姿はなかった。
遅れてやってきた沢口さんが「山本さんは部長室片付けて遅れます」と言って現れる。
まず俺が会を進行し、竹下部長などの異動者が挨拶をしてみんな食べ始めるが、一時間経っても雪乃は来なかった。
ちょうど近くにやってきた沢口さんが俺に声をかける。
「沖田さん、部長昇進おめでとうございます」
俺のグラスにビールを注ごうとする彼女ににっこりと微笑んだ。
「ねえ、沢口さん、山本さんは今日は来ないよね?」
それは質問ではなく確認。
「え? いや……あの……その……どうでしょうね? 片付けに手間取ってるのかなあ」
普段何事にも動揺しない彼女が珍しく狼狽えている。
「明日から来ないんだよね? 雪乃、今日の夜福井に帰るの?」
あえて『雪乃』と名前で呼び雪乃との親密さを伝えつつ尋問モードに入ったら、沢口さんは降参とばかりに開き直った。
「沖田さん……なんでもお見通しなんですね。雪乃先輩今夜帰るって言ってました。行かせてしまっていいんですか?」

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