一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
心がぽかぽかする。
まるでお母さんに守られているみたいだ。
「似合うよ。サイズも良さそうだな」
優しく微笑む兄を見て小さい頃のことを思い出す。
そう言えば、私が小学一年生の時は兄が毎日手を引いて学校へ連れて行ってくれたっけ。
いじめっ子が私にちょっかい出そうとすると、お兄ちゃんが追い払ってくれた。
『雪乃、お兄ちゃんがいるから大丈夫だよ』
今みたいに優しい目で言って兄は私の頭を撫でた。
「ありがとう」
少しハニカミながら微笑んだら、兄の手が伸びて来て頭を撫でられた。
「明日の朝美容院を予約してあるから行ってくるといい」
お兄ちゃんはもう遠い存在かと思ってた。
だけど、違う。
距離を置いていたのは私かもしれない。
過去の忌まわしい記憶を忘れたくて、自分の殻にこもったのだ。
「うん。お兄ちゃんは仕事いいの?」
スーツ姿なのが気になって尋ねると、兄は小さく笑った。
「これから鯖江の工場に行ってくる。なにかあれば美久に言えばいいから」
「そう。行ってらっしゃい」

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