一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
父が頭を下げて言葉を返したその時、私はカッと目を見開いて松本を見た。
私の視線に気づいた彼が眉間にシワを寄せる。
絶対にあなたとなんか結婚しない。
「申し訳ございません。このお話、お受けできません!」
私の声が部屋中に響いたかと思ったら、すぐにシーンと静まり返ってみんなの視線が私に集まった。
最初にその静寂を破ったのは父だった。
「お、お前、なにを言っているんだ! ふざけるな!」
私を指差して声を上げる。その手はブルブルと震えていた。
怒るというより父は驚いている。
私が結納をぶち壊すなんて思ってもみなかったに違いない。
不思議だ。この状況で父の心情を分析する余裕が今の私にある。
きっと母が私を見守ってくれているからだろう。
「私は本気よ。松本さんとは結婚しません!」
一言一句はっきりと宣言すると、父は憤慨した。
「馬鹿なことを言うな! 松本さん、うちの娘がすみません! 雪乃も謝れ!」
私の頭を押して無理矢理謝罪させようとする父。
「絶対に嫌!」

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