一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「お父さん、絶対に彼女に手を出さないでくださいよ」
松本がそんな注意をして笑うが、私は全く笑えなかった。
身体が強張る。
しっかりしないと。
松本を恐れるな。
私の未来……ううん、この子の未来がかかってる。
お腹に触れて、なんとか気持ちを切り替えようと試みる。
その時、兄が私の肩をポンと叩いた。
「雪乃」
小声で名前を呼ばれハッとする。
父が「花嫁修行をさせていなくて申し訳ない」と恐縮しながら座布団に座ったので、私も慌てて父の横に腰を下ろした。
「結納ですが、略式ですし固い挨拶はなしにしましょう。ほら、お前」
松本の父親が奥さんに目配せすると、奥さんは立ち上がって床の間に飾られていた結納品を片木盆に乗せて私の前に運び、一礼して席に戻った。
次に松本の父親が記憶を辿りながら結納の口上を述べる
「えー、なんと言ったかな。あっ、そうだ。結納の品を納めさせていただきます」
「ありがとうございます。お受けいたします」


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