一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「……そうですか」
「実は雪乃さんのお腹の中には僕の子がいます。彼女と結婚することを許して欲しいのですが」
怜の話が相当ショックなのか、父の手がブルブルと震えた。
「雪乃が妊娠……?」
驚きと怒り。
父はそんな表情をしていた。
「お父さん、怜は悪くないの。自分の立場はわかっていたのに、関係を迫ったのは私なの」
今にも怒りを爆発させそうな父を宥めようとしたが、父は椅子から立ち上がって私に言い放った。
「もう好きにしろ! お前のことなんか知らん!」
憤慨してこの場を立ち去る父の後ろ姿を見てみんな苦笑する。
周囲に人がいなかったのが幸いだった。
「嫌われちゃったかな。まあ、これからたくさん時間はあるし、焦らずじっくり説得していこう。だが、結婚はすぐにでもしたい」
怜がそう言って着ていた紺のジャケットの胸ポケットから白い封筒を出した。
「座りませんか?」
怜が兄と美久さんに声をかけて四人で席につく。店員に飲み物を頼むと、怜は封筒に入っていた書類を取り出してテーブルの上に広げた。

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