一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「婚姻届け出せば、嫁の実家になるんだけど。もう他人じゃなくなる。それに家の借金と指輪は別問題」
「でも……悪いよ」
私がごねたら、彼を纏う空気が変わった。
「指輪断られる方が凹む。男の沽券にかかわるんだけど」
不機嫌そうにスーッと目を細める怜の顔が怖い。
"指輪まで気をつかってもらってごめんね"なんて言ったら、多分もっと機嫌が悪くなるだろう。
「……ありがと」
素直に礼を言ったら、彼は満足げに微笑んだ。
「俺、密かに結婚指輪したら渡辺に見せびらかすのを楽しみにしてるんだ」
男の人も結婚指輪するのが嬉しいというのを意外に思った。
女の人に付き合って渋々つけるようなイメージがあったのだ。
父が結婚指輪をしているのも見たことがない。
だが、彼は違うのか。
それに……。
「どうして渡辺くん?」
首を傾げる私を見て彼は意地悪く微笑む。
「あいつが毎年俺に雪乃の義理チョコ自慢げに見せびらかしたから」
子供っぽい理由を聞いてちょっと苦笑いした。
「ただの義理チョコなのに」
< 232 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop